灰色の大地に灰色の空。灰色の世界に赤い筋があった。
「あと少しですよ…ラビ。」
少年は眼帯の青年を負ぶってひたすらに歩く。
「もう少しで…原子の…森だから…」
少年は懸命に歩く。負ぶった青年からは赤い筋がとめどなく流れていた。
「ねぇ、死んでよ。」
パンダは容赦なく言う。
「何言うさ。誰が好きで死んでやるかよ。」
言い終わった後だった。
パンダの金槌がラビの頭に直撃したのが。
「ラビ!!」
ラビは倒れた。頭から血の池が広がっていった。
パンダは笑った。楽しそうに笑った。
アレンはラビに飛びついた。
「君は生かしてあげるよ。次会った時は…ヒヒッ」
アレンが顔を上げた時にはもうパンダはいなかった。アレンは一瞬固まってしま
った。
「…ラビ!!」
アレンはラビを仰向けに直した。
「…へへ…直撃だったさ…」
ラビにアレンを落ち着かせようと笑ってみせた。
血の池は止まることなく広がっていく。
「ラビ…!!今安全な所に運びますから!」
アレンはラビを背負って歩きだした。
灰色の大地に灰色の空。灰色の世界に赤い筋があった。
「あと少しですよ…ラビ。」
少年は眼帯の青年を負ぶってひたすらに歩く。
「もう少しで…原子の…森だから…」
少年は懸命に歩く。負ぶった青年からは赤い筋がとめどなく流れていた。
「…アレン…もういいさ…」
「良くなんかありません!!早く…早く手当てをしなくちゃ…」
「打ち所が悪かったさ…もう助からないさ…」
「僕が助けます!!」
アレンは叫んだ。ラビは黙る。
目の前に緑色の世界が見えてきた。さやさやと風が新緑を撫でている。
「もう少し…もう少し…」
そしてとうとうアレンは原子の森に着いた。ラビを青草の上にゆっくりと下ろす
。
「着きましたよ…ラビ。…今薬草を持って来ますから…」
「アレン…もういいさ…」
「何を言って…」
「短い間だったけど…お前といれて良かったさ…」
ラビはアレンの頬に手をあてた。
「もう助からないさ…最後に、アレンがそばにいて欲しいさ…」
「ラビ…!」
ラビは笑った。とても爽やかに、鮮やかに笑った。
「大丈夫…俺の魂はいつもアレンのそばにいるさ…」
子供をあやす様な、優しい笑みだった。
「アレン…一緒にいれて…よか…た…」
ラビの手がするりと地面に落ちる。
一瞬、時が止まった。安らかに、眠っているかの様に死んだ眼帯の青年。
少年は叫んだ。魂の限り叫んだ。いくら叫んでも尽きる事はなかった。
原子の森は奇声に包まれた。木はざわざわと騒ぎ、動物は身を潜める。
アレンは身が乾く程に泣いた。体が潰れる程に叫んだ。
「大丈夫…俺の魂はいつもアレンのそばにいるさ…」
不意に声がした。
「俺はブックマン。クロニキルを記す者。」
アレンは振り返って、立っているラビを見た。
ラビは笑った。