ポロン
琴の音が響いた。
ポロン
音のする方に進む。見てみると、三角帽子を被った小人が木の叉に座って琴を弾
いていた。
ミシェルは杖を構える。しかし小人はそれを気にせず歌を歌い始めた。
「サウダーデは晒し首の森、蟠は泉の森、ルネッサはあじさいの森、グロッタは
ガズゥーの森。ナルィーシュキンは白の森、リュカは黒の森の線路のこちら、ル
ゥは黒の森の線路のあちら。ゴシックは夢と幻の森、もしくはどこかの道。天使
もしくは正義達は赤の塔の中。バロックは赤の塔や壁の屋上。」
「それは何の歌だい?」
ミシェルは珍しく問うた
「此処では無い赤い世界の話」
小人はまたポロンと琴を弾く。
「サウダーデは晒し首の森、蟠は泉の森、ルネッサはあじさいの森、グロッタは
ガズゥーの森。ナルィーシュキンは白の森、リュカは黒の森の線路のこちら、ル
ゥは黒の森の線路のあちら。ゴシックは夢と幻の森、もしくはどこかの道。天使
もしくは正義達は赤の塔の中。バロックは赤の塔や壁の屋上。」
小人は歌を繰り返す。ミシェルにはさっぱり分からない歌だった。
「赤い世界には沢山のバウムがいる。赤い世界を語るのが私の存在理由。そして
私もバウムの一人。」
そう言ってまたポロンと琴を弾く。
「赤い世界は壁がある。星に手がとどく。その中に住んでいるバウム達は幸福と
不幸にみまわれている。」
「幸福なのに不幸?矛盾してるじゃあないか。」
「そうかもしれない。しかしそれが事実。」
ミシェルは付き合いきれないとばかりにまた歩き出した。秋彦もそれに続く。
「真実は遠く果てしない」
ポロン
琴の音色が響いた。