嗚呼やっと来たんだね
君は蝶を殺す人

「誰だお前は。」

そう言って俺を遠ざける気だろう。そうはさせない。やっと出会えたのだから。

「アナナスだよイーイー。それともイオと言った方がいいかな、シュイ。」
「…何故俺の名を知ってる」
「それは俺達が離れてしまった者達だからさ。」
ぱたぱた、と音がして肩から蝶が飛立った。
「時間が無いんだ、シュイ。」
檜佐木は腰の鞘から刀を抜いた。
「これで俺を殺してくれ。」

俺に残された時間は少ないんだ。

「…殺してどうする。」
「殺し屋の君の発言だとは思えないな。さあ俺の全てが蝶となって飛立つ前に殺 してくれ。」

一緒だったお前の手ならば蝶を殺す事だってできる。

シュイは無言で刀を取り、檜佐木の胸に突き刺した。

そう、これで良い。

檜佐木は倒れた。そして血を吐きながらも笑みを浮かべていた。

「……イオ?」

走馬灯の様に記憶が戻った。それは今の体になる前の、(完璧なるシュイ)の記憶 。

シュイは檜佐木に近寄った。その死顔は安らかなものだった。

「っ……イオ……アナナス……」

シュイは檜佐木の顔に泪を落とした。

或るところにアナナスとイーイーと言う少年達がいた。

或るところにイオとシュイと言う少年達がいた。

或るところに……

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