その車に乗ったら最後。決して帰っては来れない。
赤いスポーツカーには呪いが掛かっていた。
「望、賭けをしませんか」
賭けるのは命。
「この車の呪いと僕達に掛けられた呪い、どっちが強いか勝負です」
ミシェルの鳥骨がからり、と鳴った。
二人は赤いスポーツカーに乗る。運転するのはミシェルだ。
灰色の世界を走るのはたやすい。二人はシートベルトをしなかった。
ヴォン、とエンジンが唸る。望は風を感じた。
赤いスポーツカーは速いスピードで走る。次第に何か緑色の気体が二人を取り囲
むのがわかった。
「おや、これが呪いの正体ですか」
ミシェルは気にせずハンドルを操作する。とは言っても直進に暴走するだけだ。
ガチャァン
車の割に軽い音を立て赤いスポーツカーは壁にぶつかった。
「…望?」
ミシェルは頭から血を流して呟く。
「…私達はまた死ねなかったみたいですね」
スポーツカーは大破した。気体は灰色の空に吸い込まれていった様だ。
「この勝負、また文彦さんの勝ちの様だ」